ピラティスを始めたばかりの頃、「どうしてピラティスという名前なんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?実は、この名前には深い歴史と意味が込められているんです。

今回は、多くの人が意外と知らないピラティスの由来・語源・名前の意味について、創始者の生い立ちから現在に至るまでの歴史を詳しく解説していきます。この記事を読めば、ピラティスへの理解がさらに深まること間違いありません!

ピラティスの由来・語源・名前の意味【結論】

ピラティスの名前は、創始者である「ジョセフ・ハベルタス・ピラティス」氏の苗字から由来しています。

実は、ピラティス氏自身は、このエクササイズを「コントロロジー(Contrology)」と名付けていました。これは「control」(コントロール)と「logy」(学問)を合わせた造語で、「全身の細かな筋肉と精神を自分自身でコントロールするための学問」という意味が込められていました。

しかし、日本では一般的にピラティス開発者ジョセフ・ハベルタス・ピラティスの苗字である、ピラティスもしくはピラテスと呼ばれるようになりました。つまり、現在私たちが親しんでいる「ピラティス」という名前は、創始者の苗字がそのままエクササイズの名称として定着したものなのです。

項目 詳細
創始者の正式名 ジョセフ・ハベルタス・ピラティス(Joseph Hubertus Pilates)
本来の名称 コントロロジー(Contrology)
現在の名称 ピラティス(Pilates)
由来 創始者の苗字から

なぜピラティスという名前になったのか?詳しい理由を解説

創始者ジョセフ・ピラティス氏の生い立ち

ピラティスは、1883年にドイツで生まれたJoseph Hubertus Pilates(ジョセフ・ハベルタス・ピラティス)氏によって考案されたエクササイズです。

興味深いことに、ピラティス氏は幼少時はリウマチ熱や喘息、くる病に悩まされ、呼吸器系が弱く病弱でした。この病弱なコンプレックスが、後に革命的なエクササイズを生み出すきっかけとなったのです。

病弱な自分の身体にコンプレックスを持っていたため、ヨガやダンス・体操・ボクシング・武術など様々な運動やスポーツの要素を組み合わせ、独自のエクササイズを開発して自己鍛錬に励んだといわれています。

「コントロロジー」から「ピラティス」への変遷

第一次世界大戦中仕事のためにイギリスにいたジョセフ=ピラティスさんは 捕虜として収容所に抑留され、仲間の捕虜の体力と全般的な健康の回復を手助けするために身体調整法をこの頃から取り組み始めました。それが「コントロロジー」(現在のピラティス・メソッド)です。

1934年、ピラティス氏にとって初めての著書となる、『ユア・ヘルス (Your Health)』を出版します。この本の中で、ピラティス氏は彼のメソッドを「コントロロジー(Contorology)』と名付けました。

しかし、時代が進むにつれて、創始者の名前である「ピラティス」という呼び方が一般的になっていきました。これは、他の多くのエクササイズや治療法と同様に、開発者の名前がそのまま手法の名称として定着したケースと言えるでしょう。

ピラティス氏の名前の発音について

実は、ピラティスという名前の発音には興味深い背景があります。「ピラティス・メソッド」という表記はドイツ語と英語の単語を組み合わせたものである。すなわち、メソッドは、英単語method([ˈmɛθəd])のありふれたカタカナ転写である一方で、ピラティスは、開発者の苗字であるPilatesのドイツ語読み[piˈlaːtəs]に近い。Pilatesは英語では[pɪˈlɑːtiːz]と発音され、ペラーティーズが近い表記となる。

つまり:

  • ドイツ語読み:ピラーテス(より正確にはピラータス)
  • 英語読み:ペラーティーズ
  • 日本語表記:ピラティス(ドイツ語読みに近い)

ドイツに生まれアメリカに移住して本メソッドを普及させた開発者のJoseph Hubertus Pilatesの名前の発音は、ドイツ語発音に基づけばヨーゼフ・フベルトゥス・ピラータス、英語に基づけば、ジョセフ(ジョゼフと発音される場合もある)・ヒューバータス・ペラーティーズであるが、日本語では独英を混ぜてジョセフ・ピラティスとの表記がなされることが多い。

ピラティスの由来にまつわる具体例と歴史的事実

アメリカでの普及とダンサーとの関係

1926年、ピラティス氏はニューヨークに到着します。航海中、彼は後に(内縁の)妻となる看護師のクララ・ゼウナーと出会いました。

ドイツから亡命したジョセフ・ピラティス氏は、アメリカNYにてスタジオをオープン。彼のスタジオがあった同じ建物内にダンススタジオが入っていたこともあり、徐々にダンサー達がスタジオに通い始めるようになります。

この偶然の立地が、ピラティスの普及に大きな影響を与えました。スタジオをオープンし、間も無くすると、ピラティス氏の噂を聞きつけた、米国の主要なバレエ団の1つである「ニューヨーク・シティ・バレエ」の「ジョージ・バランシン」や、モダンダンスの開拓者の一人でもある「マーサ・グラハム」は、怪我をしたバレリーナを彼のスタジオに送り込むようになりました。

商標問題と「ピラティス」の一般名詞化

「ピラティス」という名前には、興味深い法的な歴史もあります。1996年、マンハッタンに拠点を置き、自身もピラティス・インストラクターをするショーン・ギャラガー氏が、「pilates」「ピラティス」を商標登録してしまう、という事件が起こりました。

この商標登録により、「pilates」「ピラティス」という用語の使用が制限され、ピラティスを説明する際に「Pilates-based」や「Pilates Inspired」など、ピラティスという用語をそのまま使えない事態となり、集団訴訟が起こりました。

しかし、4年に及ぶ裁判の結果、2000年に「PILATES」という商標は無効と判断されました。裁判所は、ピラティスがヨガやエアロビクスのような一般名称であり、商標として保護されるべきではないと結論づけました。

この判決により、ピラティス・メソッドは爆発的な広まりをみせ、世界中にピラティス団体が発足し、指導者養成コースの開催と共に、一般にも広く浸透していきました。

日本での名称の定着

日本では、日本では一般的にピラティスもしくはピラテスと呼ばれる。誤りであるティラピスも使用される場合もあるという状況があります。

これは、外来語の日本語表記における一般的な現象で、原語の発音を日本語の音韻体系に合わせて表記する際に生じる変化と言えるでしょう。

呼び方 正確性 使用状況
ピラティス 正しい 最も一般的
ピラテス 正しい 一部で使用
ティラピス 誤用 稀に見られる

現代におけるピラティスの由来の意味

コントロロジーの理念の継承

ピラティス氏の著書によると、『コントロロジーとは体・心・精神の完全なコーディネーションを目指すこと』と記されています。この理念は、現在のピラティスにも脈々と受け継がれています。

「コントロロジー」という身体調整エクササイズを、彼は「自分をコントロールする学問」として行っていました。つまり、単なる運動ではなく、心と体を統合的にコントロールする学問として捉えていたのです。

世界的な普及と認知

今日では世界で約1700万人もの人々が日常的に実践し、その支持は世界的に拡大傾向といえるピラティスとなっています。

創始者の名前がそのままエクササイズの名称として世界中で愛され続けているということは、ピラティス氏の功績と理念が現代でも高く評価されている証拠と言えるでしょう。

リハビリからフィットネスへの発展

元々はリハビリのために生まれたエクササイズですが、今で、アスリートのように身体能力を伸ばす目的でトレーニングに取り入れられたり、モデルやタレントが姿勢を良くしたりダイエットに活用したりと、プロ使用から、一般の方の腰痛改善・健康維持・ダイエット目的といったものまで、年代や職業を問わずあらゆる層に広がっています。

この幅広い応用性も、創始者ピラティス氏の「身体と心の調和」という根本的な理念があるからこそ実現できているのです。

ピラティスの由来から学ぶ現代への応用

病弱だった創始者からの学び

ピラティス氏の生い立ちを知ると、現代の私たちも多くのことを学ぶことができます。病弱な自分の身体にコンプレックスを持っていたため、ヨガやダンス・体操・ボクシング・武術など様々な運動やスポーツの要素を組み合わせ、独自のエクササイズを開発して自己鍛錬に励んだという彼の姿勢は、まさに現代人にも通じる学習態度と言えるでしょう。

つまり、自分の弱点や課題を受け入れながらも、それを克服するために積極的に学び続ける姿勢が重要だということです。

総合的なアプローチの重要性

彼は、Body,Mind,Spiritのバランスを重視するギリシャの文化の精神と、彫刻の美しさに関心を持ち、世界中のさまざまな身体訓練法や武術を鍛錬し、素晴らしい肉体を築き上げました。

この総合的なアプローチは、現代のホリスティック(全体的)な健康観念と非常に一致しています。単一の方法に固執するのではなく、様々な要素を統合して最適な結果を得るという考え方は、現代のライフスタイルにも応用できます。

継続的な研究と発展の重要性

ピラティス氏は1967年に亡くなるまで、熱心に研究を重ねながらもクライアントへの指導を続けていました。この生涯にわたる学習と実践の姿勢は、現代のピラティス愛好者にとっても重要な示唆を与えています。

ピラティスは一度覚えれば終わりではなく、継続的に学び、実践し、発展させていくものであるということを、創始者自身が体現していたのです。

まとめ:ピラティスの由来を知ることで深まる理解

ピラティスの由来・語源・名前の意味について詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

ピラティスという名前は、単純に創始者ジョセフ・ピラティス氏の苗字から来ているものの、その背景には深い哲学と理念が込められていることがお分かりいただけたと思います。

重要なポイントを改めて整理すると:

  1. 由来:創始者ジョセフ・ハベルタス・ピラティス氏の苗字から
  2. 本来の名称:コントロロジー(身体と心をコントロールする学問)
  3. 理念:体・心・精神の完全なコーディネーション
  4. 発展:リハビリから世界的なフィットネスメソッドへ
  5. 現代的意義:総合的なアプローチによる健康増進

ピラティスの由来を知ることで、単なるエクササイズとしてではなく、創始者の深い理念と哲学を受け継ぐ身体調整法として実践することができるようになります。

10回やったら違いを感じ、20回やったら違いが目に見え、30回やったらまったく別の身体にうまれかわるでしょうという創始者の有名な言葉も、この歴史的背景を知ることで、より深く理解できるのではないでしょうか。

ピラティスを実践する際は、ぜひこの「身体と心をコントロールする学問」という本来の意味を思い出しながら取り組んでみてください。きっと、今まで以上に充実したピラティス体験ができるはずです!