「ピラティスとヨガ、似ているようで違う2つのエクササイズ、一体どちらを選べばいいの?」
このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。実際、どちらも呼吸を意識しながら体を動かすエクササイズで、健康的な体づくりに効果的とされています。
結論から言うと、ピラティスは体幹強化と姿勢改善、ヨガは心身の調和とリラックスが主な目的で、あなたの目標によって選ぶべきエクササイズが決まります。
この記事では、ピラティスとヨガの具体的な違いを詳しく解説し、どちらがあなたに適しているかを判断できる情報をお届けします。
ピラティスとヨガの5つの決定的な違い
まず、ピラティスはインナーマッスルや体幹を鍛えて、身体を健康的に鍛えることが目的に対して、ヨガは呼吸法や瞑想で心と身体を結び付け、心身を安定した状態にすることが目的になります。
具体的な違いを表で確認してみましょう。
項目 | ピラティス | ヨガ |
---|---|---|
起源・歴史 | 20世紀初頭ドイツ(約100年) | 古代インド(約4500年) |
主な目的 | 体幹強化・姿勢改善 | 心身の調和・精神安定 |
呼吸法 | 胸式呼吸(交感神経を活性化) | 腹式呼吸(副交感神経を活性化) |
動作の特徴 | 流れるような連続動作 | ポーズをキープして静止 |
向いている人 | 体を鍛えたい・姿勢を改善したい | リラックスしたい・内面を整えたい |
1. 起源と歴史の違い
ピラティスは、1883年にドイツで生まれたJoseph Hubertus Pilates(ジョセフ・ハベルタス・ピラティス)氏によって考案されたエクササイズです。戦争で傷を負った兵士のリハビリを目的に開発したエクササイズです。
一方、ヨガの起源はインダス文明の時代で、インドで宗教的思想に基づいた修行法として用いられたことが始まりだとされています。約4500年前の古代インドで、仏教やヒンドゥー教の修行のひとつとして始まったことが起源で、ピラティスよりもかなり長い歴史を持ちます。
2. 呼吸法の違い
ピラティスとヨガの大きな違いとして、呼吸法が挙げられます。ピラティスでは主に胸式呼吸、ヨガでは主に腹式呼吸が用いられます。
ピラティスの胸式呼吸
- 肋骨を前面や背面、横に広げるように深く呼吸
- 交感神経を優位にする働きを持つのが特徴です。意識して深く胸式呼吸を繰り返すと、脳が活性化され、筋肉も活動的な状態となり、頭も身体もすっきりとして集中力が高まります
- 日中の活動時に行う自然な呼吸
ヨガの腹式呼吸
- 息を吸ったときにお腹がふくらみ、息を吐いたときにお腹がへこむ」という動きをする呼吸
- 副交感神経を活発化させてリラックスやストレス解消の効果も期待できます
- リラックス時や就寝前に適した呼吸法
3. 動作・運動方法の違い
ピラティスでは流れるように動作を続けるのに対し、ヨガではひとつひとつのポーズをしばらくキープするのが特徴です。
ピラティスの動作特徴
- 流れるように動き続けていくのが特徴です。背骨や関節の流動性を高めるエクササイズを中心に行います
- 筋肉の可動域や柔軟性、反復の回数よりも「動きの質」を重視し、骨や筋肉の調整のための正しいポジションにフォーカスします
- マットピラティスやマシンピラティスなど様々な方法がある
ヨガの動作特徴
- 身体をストレッチするようなポーズで数秒間キープし、深い呼吸をしながらポーズを深めていきます
- 関節の可動域を広げ、筋肉の柔軟性を高めるポーズや、体幹・肩関節周辺のインナーマッスルを強化していくポーズが主に使用されます
- アシュタンガ、ハタヨガ、パワーヨガなど多くの流派が存在
4. 効果の違い
ピラティスはインナーマッスルの強化と、それに伴う姿勢や骨格のゆがみケアに効果的です。一方ヨガは、気持ちの安定と柔軟性の向上に向いています。
ピラティスで期待できる効果
- 体幹・インナーマッスルの強化
- 姿勢改善
- 骨格の歪み解消
- 身体機能の向上
- 筋力アップとボディメイク
- 怪我の予防
ヨガで期待できる効果
- 柔軟性の向上
- 心の安定・ストレス解消
- 自律神経の調整
- リラックス効果
- 血流改善
- 集中力・内観力の向上
5. 実施タイミングの違い
ピラティスを行うタイミングは、昼から夕方にかけての時間帯が適しているのに対し、ヨガは就寝前に行うのが理想です。
これは呼吸法の違いによるもので、ピラティスでは胸式呼吸を使用するため、交感神経が活性化されます。交感神経が活性化されると筋肉が刺激され、心身も活性化されて体を動かしやすくなりますため、活動的な時間帯に適しています。
なぜこれらの違いが生まれたのか?それぞれの成り立ちから理解する
ピラティスとヨガの違いを理解するためには、それぞれの成り立ちを知ることが重要です。
ピラティス誕生の背景
1883年にドイツで生まれたピラティス氏は、幼いころから喘息や病弱な体に悩んでいました。そのため、自身が健康で丈夫な体になるために、さまざまなスポーツや治療方法を探求します。
第一次世界大戦中に敵国イギリスの捕虜となり、従軍看護士として負傷した兵士たちの看護にあたります。その際、負傷兵や寝たきりの患者であっても身体機能・精神の回復が叶うよう、リハビリ指導を始めました。
つまり、ピラティスは「身体機能の回復と強化」を目的として生まれたエクササイズなのです。
ヨガの成り立ち
ヨガの起源はインダス文明時代に修行法として用いられたことが、ヨガの始まりだとされ、もともとはカラダの健康法ではなく、精神を安定化させることが重要視されていました。
ヨガはサンスクリット語で「つながり」という意味があります。つながりとは、心と身体が繋がっている状態をさすのです。
ヨガは「心身の統合と精神の安定」を目的とした修行法として発展してきました。
ピラティスとヨガの関係性
実は、ピラティス氏が学んだ方法論の中には、ヨガもありました。1800年後半、ヨガを含む東洋の考え方がヨーロッパにわたり、ブームとなったのです。彼は、生活豊かにするためにこころを制御する方法論であるヨガの要素を、メソッドの中に取り入れました。
開発にあたってヨガの影響を受けているため、エクササイズの中にはヨガによく似た動きも多いのが特徴です。そのため、ピラティスはヨガとは全くの別物ではなく、ヨガの一種ともいえるでしょう。
具体的な実践例で見る違い:同じような動きでも効果が異なる理由
ピラティスとヨガには似たような動きもありますが、その実践方法や意識するポイントが大きく異なります。
プランクポーズの違い
ピラティスでのプランク
- 胸式呼吸を維持しながら実施
- 体幹のインナーマッスルに集中
- 正確なアライメント(姿勢)を重視
- 動的安定性を高める目的
- 短時間で効率的に実施
ヨガでのプランク
- 腹式呼吸でリラックス状態を保つ
- 全身の統合を意識
- 内観と集中を深める
- 心身の調和を目的とする
- ポーズを長時間キープ
呼吸に対するアプローチの違い
ピラティスでは胸式ラテラル呼吸を用いてエクササイズを行います。肋骨を前横後ろ、全方向に広げて呼吸をするため、酸素の吸収率が上がり、頭もカラダもスッキリし集中力が上がるとされています。
ヨガでは主に腹式呼吸を用いるのが特徴で、深くゆっくりとした呼吸を行うことでリラックス効果が期待できます。
実際のレッスンの流れの違い
ピラティスレッスンの一般的な流れ
- ウォームアップ(胸式呼吸の確認)
- 体幹準備運動
- メインエクササイズ(流れるような動作)
- クールダウン
- リラクゼーション(短時間)
ヨガレッスンの一般的な流れ
- 瞑想・呼吸法の練習
- ウォームアップポーズ
- 太陽礼拝などの動的シークエンス
- 立位・座位のアーサナ(ポーズ)
- シャバーサナ(屍のポーズ)で長時間のリラクゼーション
あなたに向いているのはどっち?目的別選択ガイド
ここまでの違いを理解した上で、あなたの目的に合わせてどちらを選ぶべきかを判断してみましょう。
ピラティスがおすすめな人
ピラティスをおすすめしたいのは、身体を鍛えたい、美しく健康に整えたいと考えている方です。
- 姿勢を改善したい人
- 体幹を強化してボディメイクしたい人
- 腰痛や肩こりなどの身体の不調を改善したい人
- 運動した実感を得たい人
- 効率的にインナーマッスルを鍛えたい人
- アスリートのようにパフォーマンスを向上させたい人
ピラティスは、全身の筋力をトーンアップさせ、柔軟性や姿勢改善に重点を置きます。ピラティスは常に身体を動かすため、ヨガに比べ「運動をした」という感覚を得やすいです。
ヨガがおすすめな人
リラックス効果や呼吸法で心も身体も整えたい方は、ヨガにチャレンジしてみるのがおすすめです。
- ストレス解消・リラックスしたい人
- 柔軟性を高めたい人
- 心の安定・内観を深めたい人
- 瞑想や精神的な成長に興味がある人
- 自律神経を整えたい人
- 睡眠の質を改善したい人
ヨガは心身を整えるために行うエクササイズで、リラックスしながらゆっくり行うので、筋肉を鍛えるというよりは、筋肉を柔らかくしていく効果が期待できます。
こんな人はどちらを選ぶべき?実際のケーススタディ
ケース1:デスクワークで姿勢が悪い30代女性
→ ピラティスがおすすめ。体幹強化により正しい姿勢を維持できる筋力が身につきます。
ケース2:育児疲れでストレスが溜まっている40代女性
→ ヨガがおすすめ。腹式呼吸によるリラックス効果でストレス解消が期待できます。
ケース3:スポーツのパフォーマンスを向上させたい20代男性
→ ピラティスがおすすめ。動的安定性と体幹強化によりスポーツパフォーマンスが向上します。
ケース4:更年期の不調に悩む50代女性
→ ヨガがおすすめ。自律神経調整により更年期症状の緩和が期待できます。
両方を組み合わせるという選択肢
どちらも体幹を鍛え、姿勢の改善などを目的としていますが、アプローチの違いから個々の目標に合わせて選択するようにしましょう。
実際には、両方を組み合わせることで相乗効果が期待できます:
- 平日はピラティスで体幹強化
- 週末はヨガでリラックス・メンテナンス
- 朝はピラティスで活動的に、夜はヨガでリラックス
初心者が知っておくべき実践のポイント
どちらを選んだ場合でも、初心者が知っておくべき重要なポイントがあります。
ピラティス初心者のポイント
- 正しいフォームの習得が最優先
- 無理をせずに動きの質を重視する
- 胸式呼吸をマスターする
- インストラクターから基礎を学ぶ
- 週2-3回の継続が効果的
ピラティスは正しいフォームで動くことが効果に繋がるので、初心者は独学ではなくピラティススタジオに通って基礎を身につけることがおすすめ。
ヨガ初心者のポイント
- 無理にポーズを深めようとしない
- 腹式呼吸を意識する
- 自分の体と心の状態を観察する
- 比較せずに自分のペースで行う
- リラックスを最重要視する
どちらも共通する注意点
- 継続することが最も重要
- 体調不良時は無理をしない
- 食後2時間以内は避ける
- 水分補給を適度に行う
- 専門的な指導を受ける
ヨガ・ピラティスどちらも長く続けることで効果が見えてくるエクササイズです。効果が出る前にやめず、まずは続けてみることが大切です。
最新トレンド:ピラティスとヨガの進化
近年、ピラティスとヨガは伝統的な形から様々な進化を遂げています。
ピラティスの最新トレンド
- マシンピラティスの普及:リフォーマーなどの専用機器を使用
- オンラインピラティス:自宅で気軽に参加可能
- 医療従事者監修プログラム:理学療法士などの専門家による指導
- パーソナルピラティス:個人の身体状況に合わせた指導
ヨガの最新トレンド
- ホットヨガ:高温多湿環境でのヨガ
- エアリアルヨガ:ハンモックを使った空中ヨガ
- SUPヨガ:スタンドアップパドルボード上でのヨガ
- マインドフルネスヨガ:瞑想要素を強化したヨガ
効果を最大化するための実践方法
選択したエクササイズの効果を最大化するための具体的な方法をご紹介します。
ピラティスの効果を高める方法
- 週2-3回の定期的な実践
- マット・マシン両方の体験
- プライベートレッスンでの基礎習得
- 日常生活での姿勢意識
- 適切な栄養摂取
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ヨガの効果を高める方法
- 毎日短時間でも継続
- 瞑想の習慣化
- 様々な流派の体験
- 生活リズムの改善
- 心の状態の観察
よくある質問と回答
Q: ピラティスとヨガ、どちらがダイエット効果がありますか?
A: ピラティスの方が筋力強化により基礎代謝向上が期待でき、ダイエット効果は高いとされています。ただし、ヨガも継続により体質改善効果があります。
Q: 体が硬くても始められますか?
A: どちらも始められます。ピラティスは柔軟性よりも正確な動作が重要で、ヨガは個人のペースで徐々に柔軟性を高めることができます。
Q: 妊娠中でも実践できますか?
A: 専門的な指導のもとであれば、妊娠中でも安全に実践できるプログラムがあります。必ず医師と相談してから始めましょう。
Q: どのくらいで効果を感じられますか?
A: 個人差がありますが、ピラティスは4-6週間、ヨガは2-4週間で変化を感じる人が多いです。継続が最も重要です。
まとめ:あなたの人生を豊かにするエクササイズ選択
ピラティスとヨガの違いを詳しく解説してきましたが、最も重要なのはあなたの目的と価値観に合ったエクササイズを選ぶことです。
改めて整理すると:
- 身体機能向上・姿勢改善・ボディメイクが目的 → ピラティス
- 心身の調和・リラックス・内観が目的 → ヨガ
- 総合的な健康維持 → 両方の組み合わせ
ヨガでは、リラックスや精神的な効果、ピラティスはボディメイクや肉体的な効果が謳われがちですが、どちらとも、呼吸を大切にしながらカラダを動かしますので、心とカラダへの効果も期待できます。
どちらを選んでも、継続することで必ず身体と心にポジティブな変化をもたらします。まずは体験レッスンで実際に試してみて、あなたにとって続けやすく、楽しいと感じる方から始めてみましょう。
あなたの健康で美しい人生のために、今日から一歩を踏み出してください。ピラティスでもヨガでも、きっとあなたの人生を豊かにしてくれるはずです。